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言語聴覚士 奥住啓祐

言語聴覚士のための STセミナー講師

言語聴覚士の悩み→私自身の悩み→そして今がある

発音

言語聴覚士の奥住啓祐です。

 

セミナー講師として全国飛び回り

いろんな地域で多くの言語聴覚士さんとお話しする中で

 

言語聴覚士自身もいろいろ困っていることに気づきました。

 

困っている内容は様々ですが

臨床のこと以外にも

 

自分自身の声がかすれ、発声練習ができない

飲み込みにくい

口が開けにくい

などなど

結構大変な悩みも多々あります。

 

よく受講生から

私自身の声について褒めていただけるのですが

 

実は私自身、ずっと発音と声、姿勢の問題を抱えていました。

 

というのも大きな原因がありまして(全然気づいて無かったのですが)

 

なんと大学二年生の時に

言語聴覚士協会の会長であり大学の学科長である深浦順一先生に

私の口蓋化構音(こうがいかこうおん)がばれてしまい(笑)

 

そこから私自身の構音訓練が始まりました。

 

ちなみに言語聴覚療法臨床マニュアルでは構音障害を

「話しことばの、音としての性質に異常のある状態」と規程されています。

 

たとえば

正確に発音出来ずに、

発音された音が歪んでしまう

 

そうすると聴き手は上手く音を聞き取れない

結果的に上手く伝わらず、

「なんて言った?」

と聞き返されます。

 

その様な経験が繰り返されると

誰かと話したくなくなるし

これから言おうと思った言葉に苦手な音が出てくるの分かったら言うの躊躇するし

苦手な音の入ってない、意味は似てる言葉に置き換えて話したりするようになります。

 

 

そもそもの原因は様々ですが

 

構音障害は大きく三つに分類されます。

①運動障害性構音障害 

中枢から抹消に至る神経・筋系のいずれかの病変による構音器官の運動障害で起きる構音障害の総称

②器質性構音障害

構音器官の形態の異常や欠損のために構音障害を呈している場合

③機能性構音障害

構音障害の原因となるような明らかな異常や障害は認められないにも関わらず、話し手が所属する言語社会の音韻体系の中で、話し手の年齢からみて、使いこなせるはずの語音とは異なる語音を習慣的に産生している場合

聴力障害、器質性/運動障害性構音障害、脳性麻痺、知的発達の遅れなどがある場合は、機能性構音障害とは厳密に区別される。

(言語聴覚療法臨床マニュアルより)

 

 

私の場合は③機能性構音障害というもの。

その中でも発音の間違い方で

口蓋化構音、側音化構音、鼻咽腔構音と分類されるのですが、

 

私の発音の間違い方は

歯音・歯茎音の構音点が後方に移動し、

舌背と口蓋で産生されていたので

口蓋化構音でした。

 

実際には本来舌先で発音する「ら行」を

舌の奥の方を使って器用に発音していました。

「た行」もやや舌の奥で発音していたと思います。

 

小さい時から20年以上も誤学習を繰り返してるから

臨床経験もない当時の私にとって

どこまで発音が上手く出来るようになるか未知数。

 

皆さん試しに、舌の奥の方を使ってラ行を発音してみてください

 f:id:keisuke0764:20170211133536j:image

 きっと意味わかんないと思います。

 

実際に深浦先生の研究室で正しい発音の練習をするのですが

私にとっては舌先でラ行を発音する事が意味不明でした。

(ほんとSTなる前に気付いて良かった)

 

大学の他の先生からは一生、呂律不良感は残ると言われましたが

大学卒業後も自分の体を使って仮説検証の連続

その過程でも多くの方との素晴らしい出会いがあり助けて頂きました。

 

臨床において、脳血管疾患などの影響による

運動障害性構音障害を抱える方は「ラ行」に呂律不良感を抱える方が多く

発音トレーニングを行いますが、

当初は私自身も「ラ行」が発音しにくく苦労しました。(特に「~られる」)

 

自分の発音の問題に気づいて9年ほど経ちますが

未だに新しい気付きがあり

発音、声、姿勢などが年々良くなって行くのを感じるんです。

 

ちなみにリップロールとタングロールは去年夏くらいにちゃんと出来るようになりました。

(他のSTの方がリハビリの際に患者さんにリップロールの指導してるのをみながら、

「自分も出来ないな〜」と思いながら素通りしてたのを思いだします)

 

今ではリップロールとタングロールを同時に出来るほど(出来る必要ありません)

リップロール、タングロールについても

出来ないと話されるSTの受講生が多かったです。

 

一方でそれらが問題なく出来るSTさんに

「出来ない受講生に分かりやすくリップロール、タングロールの仕方を教えてみて」

とお願いすると結構悩まれます。

 

自分が当たり前に出来てる事を

相手が理解出来るように教えるのは難しいです。

これを読んでるSTさんは是非

自分だったらどう説明するか考えてみてください。

 

話はそれましたが

今のところ日本語の発音に関しては

余程疲れた時以外は呂律不良感は感じてませんが

現在、私の課題は

 

・奥舌の過剰な緊張です。(←これ昨日発覚しました)

 

タングロールが出来るようになり

大夫、舌の緊張が抜けてきたかと油断してました。

 

日常会話程度であれば大丈夫ですが

歌唱や英語、中国語の発音練習の際に結構力が入っているようです。

(歌唱に関しては機能性構音障害とは違う原因がありそうですが)

 

ただ奥舌の過剰な緊張に気づいたおかげで

早速解決策に気付き、

現在、自分の体で実験中です。

(早速予期せぬ変化が起こっているのでまた報告します)

 

この9年を今振り返ってみると

結果的に良かったと思う事があります。

 

1、問題にばかりフォーカスしない

 

私にとってはたとえ呂律不良感があったとしても

それが何かを諦める原因にはならない

 

変なポジティブシンキングではなく

もっとニュートラルなイメージ

 

呂律不良感は残ってもいい

 

ただ良くなっていく経験も多くしており

 

日によっては調子がいまいちな時もあるが

それは体からの優しいお便り

 

自分の持っている素晴らしい可能性を信じ

自分の発音、声、体の変化を今も楽しんでいます。

 

もし私が出来ない事ばかりにフォーカスしていたら大変だったと思います。

おそらく日常にあふれる素晴らしいことや、良い変化まで気付けづにいたでしょう。

 

2、機能性構音障害があったおかげで今の私がある。

 

人間、自分にとって出来て当たり前の事には気づきにくい

 

私自身いろんな問題を抱えてたので

それらを時間をかけて解決するなかで

多くのメッセージを受け取ってきたと思う。

 

それらが今の臨床で大いに活かされている

 

それらのメッセージを広く活かすことが

私の果たすべき役割の一つだと思う。

 

苦手な音の発音練習をすることの大変さは私自身、理解しているので

少しでも楽に目標達成出来るには

どうしたら良いだろうと常に考えています。

 

そのためにはやはりアセスメントが大切です。

なぜなら少しでも楽に目標達成するには

問題に対して影響を与えている因子をきちんと把握する事が大切だからです。

 

 自分の体で人体実験するなかで

舌の動きに影響を与える因子は口腔顔面の筋骨格以外にもたくさんあることを知りました。

声に対して影響を与える因子もたくさんあることを実感しました。

 

臨床の中で

しっかり原因を分析するためには

視野をかなり広げる必要があります。

 

ただし最近よく見かける

これを知ったら大丈夫

このテクニックを覚えたら大丈夫

というものではなく

 

私自身、臨床でたくさん悩みます

私自身、常に視野を広げようと努力しながら

悩みながらも前に進んでいます。

 

スタートラインにたってからが自分との勝負です。

 

 

Q.あなたがこれまで苦しんでいた事は何ですか?

Q.その経験が今のあなたの人生にどの様に活かされていますか? 

 

 
It isn’t that they can’t see the solution. It is that they can’t see the problem.

解決策がわからないのではない。問題がわかっていないのだ。
イギリスの作家・推理作家、1874~1936
引用:『ブラウン神父の醜聞』

 

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 今年も全国で
言語聴覚士のためのプロフェッショナルSTセミナーを今年も開催予定です。
5年目の今年はどのような内容になるでしょう
 
(ST受講者の声 13年目 言語聴覚士)
私自身、疲れてくるとむせたり、飲み込みにくく舌骨上筋群の硬さが辛かったのですが、2日間のセミナーが終わる頃には、硬かった緊張も緩み、楽になりました。
臨床では以前から、〇〇が出来ないから〇〇の訓練をすることに疑問を感じていました。セミナーを受け、少しは胸から上だけでなく、体全体を見れるようになったのでは。体の事に関心がもてたのでは?PT.OTとも話ができるかな。
また効果が短時間で出たことは驚きました。人数もちょうど良く、先生が丁寧にまわって教えてくれたこと、先生のスピリチュアル的な話が聞けたことも良かったです。

 

(6年目 言語聴覚士

セミナー受講前は筋を触ることに抵抗があった。PTさんと患者さんについて議論する自信がなかった。身体と声、嚥下の分析ができないことなど困っていた。

今回、まず「考え方」の練習をいっぱい出来たことで、評価していく視点が明確になった。また効果を”自分の体”で実感出来たことは期待以上でした。
 

 [ 9年目ST]
構音障害のある方に対して、教科書的な訓練を行っていましたが、良くなりきらない方が多く、あまり手応えを感じにくい状態でした。
今回のセミナーは自身の考え方ががらりとかわる内容でした。すぐにでも臨床に試したい内容で明日からの仕事が楽しみになりました。
自分自身の声や姿勢が変わった事、自身の腹部を意識できた事、もっと体の動きや変化に意識を向けなければならないこと、視点が変われば様々なアプローチがあることなどの事を実感できました。
 

 


奥住啓祐
言語聴覚士 メンタルヘルス
 
全国でセミナーや講演も実施
28年度
言語聴覚士の為のSTセミナーを
福岡、東京、愛知で計12回 (摂食嚥下編、呼吸発声編)
自治体担当者セミナー (ストレスと自律神経の見える化
社会福祉法人の職員向けセミナー4回 (摂食嚥下障害、失語症
パーキンソン病 家族会での講演 (パーキンソン病と摂食嚥下障害)
・九州中央病院 スマイルネットワークでの講演 (訪問ST、摂食嚥下障害について)
・中国 上海市の方に対するセミナー (疾病予防、摂食嚥下、自律神経調整など)