言語聴覚士 奥住啓祐

言語聴覚士のための STセミナー講師

言語聴覚士の悩み→私自身の悩み→そして今がある

言語聴覚士の奥住啓祐です。

 

STセミナー講師として全国飛び回り

いろんな地域で多くの言語聴覚士さんとお話しする中で

 

言語聴覚士さん自身もいろいろ困っていることに気づきました。

 

困っている内容は様々ですが

臨床のこと以外にも

 

自分自身の声がかすれ、発声練習ができない

飲み込みにくい

口が開けにくい

 

などなど

結構大変な悩みも多々あります。

 

よく受講生から

私自身の声について褒めていただけるのですが

 

実は私自身、ずっと発音と声、姿勢の問題を抱えていました。

 

というのも大きな原因がありまして(全然気づいて無かったのですが)

 

なんと大学二年生の時に

言語聴覚士協会の会長であり大学の学科長であった深浦順一先生に

「発音の仕方おかしくない?」と指摘され、

 

なんと20年間、間違った発音の仕方をしていた事が発覚したのです。

 

そのため臨床に出る前に、まずは正しい発音の仕方を再学習するため、

深浦先生と一緒に私自身の構音訓練が始まりました。

 

ちなみに言語聴覚療法臨床マニュアルでは構音障害を

「話しことばの、音としての性質に異常のある状態」と規程されています。

 

たとえば

正確に発音出来ずに、

発音された音が歪んでしまう

 

そうすると聴き手は、上手く内容を聞き取れない

結果的に上手く伝わらず、

「なんて言った?」

と聞き返されます。

 

その様な経験が繰り返されると

 

誰かと話したくなくなったり、

これから言おうと思った言葉に苦手な音が出てくるの分かったら言うの躊躇したり、

苦手な音の入ってない、意味は似てる言葉に置き換えて話したりするようになります。

 

 

そもそもの原因は様々ですが

 

構音障害は大きく三つに分類されます。

 

私の場合は機能性構音障害のなかの口蓋化構音でした。

 

 

本来、舌先で発音する「ら行」を

舌の奥の方を使って器用に発音していました。

「た行」もやや舌の奥で発音していたと思います。

 

 

小さい時から20年以上も誤学習を繰り返してるから

臨床経験もない当時の私にとって

どこまで発音が上手く出来るようになるか未知数。

 

皆さん試しに、舌の奥の方を使ってラ行を発音してみてください

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 きっと意味わかんないと思います。

 

実際に深浦先生の研究室で正しい発音の練習をするのですが

私にとっては舌先でラ行を発音する事が意味不明でした。

(ほんとSTなる前に気付いて良かった)

 

大学の他の先生からは「一生、呂律不良感は残る」と言われましたが、

 

自分の体を使った人体実験と思って、

大学卒業後も自分の体を使って仮説検証の連続。

 

その過程でも多くの方との素晴らしい出会いがあり助けて頂きました。

 

臨床において、脳血管疾患などの影響による

構音障害を抱える方は「ラ行」に呂律不良感を抱える方も多く

発音トレーニングを行いますが、

 

当初は私自身も「ラ行」が発音しにくく、とても苦労しました。(特に「~られる」)

 

自分の発音の問題に気づいて9年ほど経ちますが

未だに新しい気付きがあり、

 

発音、声、姿勢などが

年々良くなって行くのを感じるんです。

 

ちなみにリップロールとタングロールは構音障害が発覚して7年目の夏にちゃんと出来るようになりました。

(他のSTの方がリハビリの際に患者さんにリップロールの指導してるのをみながら、

「自分も出来ないな〜」と思いながら素通りしてたのを思いだします)

 

今ではリップロールとタングロールを同時に出来るほど(出来る必要ありません)

 

一方でそれらが、もともと問題なく出来るSTさんに

「出来ない受講生に分かりやすくリップロール、タングロールの仕方を教えてみて」

とお願いすると結構悩まれます。

 

自分が当たり前に出来てる事

相手が理解出来るように教えるのは難しいです。

 

 

話はそれましたが、

今のところ日本語の発音に関しては

余程疲れた時以外は呂律不良感は感じてませんが

現在、私の課題は

 

・奥舌の過剰な緊張です。(←これ昨日発覚しました)

 

タングロールが出来るようになり

だいぶ舌の緊張が抜けてきたかと油断してました。

 

日常会話程度であれば大丈夫ですが

歌唱や英語、中国語の発音練習の際に結構力が入っているようです。

(歌唱に関しては機能性構音障害とは違う原因がありそうですが)

 

ただ奥舌の過剰な緊張に気づいたおかげで

早速解決策に気付き、

現在、自分の体で実験中です。

(早速予期せぬ変化が起こっているのでまた報告します)

 

この9年を今振り返ってみると

結果的に口蓋化構音があって良かったと思う事があります。

 

1、問題にばかりフォーカスしない

 

私にとってはたとえ呂律不良感があったとしても

それが何かを諦める原因にはならない。

 

変なポジティブシンキングではなく

もっとニュートラルなイメージ

 

呂律不良感は残ってもいい

 

いまだに良くなっていく経験も多くしており

 

日によっては調子がいまいちな時もあるが

それは体からの優しいお便り

 

自分の持っている素晴らしい可能性を信じ

自分の発音、声、体の変化を今も楽しんでいます。

 

もし私が「出来ない事」ばかりにフォーカスしていたら大変だったと思います。

おそらく日常にあふれる素晴らしいことや、良い変化まで気付けないでいたでしょう。

 

2、機能性構音障害があったおかげで今の私がある。

 

人間、自分にとって出来て当たり前の事には気づきにくい。

 

私自身いろんな問題を抱えてたので

それらを時間をかけて解決するなかで

多くのメッセージを受け取ってきたと思う。

 

それらが今の臨床スタイルにも大いに活かされています。

 

それらのメッセージをどんどん伝えていくことが

私の果たすべき役割の一つだと思う。

 

苦手な音の発音練習をすることの大変さ

これは私自身、とっても理解しているので

 

発音に限らず何か困っていることがあった時に、

少しでも楽に目標達成出来るにはどうしたら良いだろう

と常に考えています。

 

そのためにはやはりアセスメントが大切です。

なぜなら少しでも楽に目標達成するには

 

問題に対して影響を与えている因子をきちんと把握する事が大切だからです。

 

 自分の体で人体実験するなかで

舌の動きに影響を与える因子は口腔顔面の筋骨格以外にもたくさんあることを知りました。

 

声に対して影響を与える因子もたくさんあることを実感しました。

 

臨床の中で

しっかり原因を分析するためには

 

視野をかなり広げる必要があります。

 

 

ただし最近よく見かける

これを知ったら大丈夫

このテクニックを覚えたら大丈夫

というものではなく

 

私自身、臨床でたくさん悩みます

私自身、常に視野を広げようと努力しながら

悩みながらも前に進んでいます。

 

スタートラインにたってからが自分との勝負です。

 

 

 

Q.あなたがこれまで苦しんでいた事は何ですか?

Q.その経験が今のあなたの人生にどの様に活かされていますか? 

 

 
It isn’t that they can’t see the solution. It is that they can’t see the problem.

解決策がわからないのではない。問題がわかっていないのだ。
イギリスの作家・推理作家、1874~1936
引用:『ブラウン神父の醜聞』

 

 

 

追記:

これを書いた時はまさに舌へ影響を与える因子についてずっと考えていました。

そこからまた1年経ち、「口腔外からの舌の調整法」が生まれ、舌からの影響を今は考えています。その結果、瞬間発音調整会で出来るところまできました。

st-keisuke.hatenadiary.jp

 

 

 

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奥住啓祐
言語聴覚士 メンタルヘルス