~口腔機能の探求~ 言語聴覚士 奥住啓祐

20歳で口蓋化構音が見つかり試行錯誤しながら克服。口腔外からの舌調整法やS-R touchを通して口腔顔面の持つ可能性を探求してます。 特技は瞬間発音調整、楽器演奏時の舌の動きの瞬間調整。

発音の問題に対して足から介入する?

言語聴覚士の奥住啓祐です。

 

ここ数年でSTさんのための実技中心の勉強会も増えましたね。

 

どの様な姿勢でベッドに寝るか

またどの様な姿勢で座るか

 

丁寧に評価-介入-再評価を行っていくと、呼吸が変わり、声質がかわり、飲込みやすさが変わったという事を、おそらく皆さん経験されていると思います。

 

私も言語聴覚士の資格をとった当初から、体幹や上下肢が頭頚部に与える影響をずっと考え学んできました。

 

例えば脊柱の棘突起や足底に軽く触れた途端、まっすぐ提舌が出来るようになったり、呂律不良感が軽減するのを体験する度に、「ほんとに体って繋がっているんだなぁ」と感じてきました。

 

そういう経験をすると、「もっと学びたい!」という思いは膨らみ、全国飛びまわっていました。

 

言語聴覚士になった当初からの「しっかり口腔の事をみる」という目標を大切にしつつ、

 

「全身から頭頚部の問題を捉えられるようにもなりたい」

「もっと全身みれるSTになりたい」と、徐々に変化していました。

 

もちろん初めは筋骨格系の事は全然分からなかったのですが、1年、2年と経つごとに少しずつ見える世界が変わっていったように思います。

 

「あの時に諦めなくて良かったな」とよく思い返します。

 

そして29年からは「口腔、顔面への介入を軸にしながら、全身からの発音や食べることへの影響もみていく」というように変化してきました。

 

きっかけは口腔外からの舌の調整法が産まれたこと。

そして喉頭筋の調整法が産まれたのも私に与える影響は大きかったです。

(参考:発音のしやすさが一瞬で変わる事を体感する。 - 言語聴覚士 奥住啓祐

 

発音や嚥下の問題だけでなく、失語症や発語失行の方に対して、筋緊張の問題がどの程度影響しているかの、評価・介入にも応用できるので、これはぜひ実際にセミナーなどで自分の体で変化を体感してほしいと思います。

(参考:発語失行と舌の調整 - 言語聴覚士 奥住啓祐) 

 

さて、このブログでも何度かお話していますが、同じ日本語を話している健常者であっても、発話時の舌運動の効率性は大きく異なり、非効率な舌の使い方をしている方も多くいます。

 

ここでいう舌の問題というのは病的な問題ではないのですが、食べること、話すことへ影響するのみならず、たとえば歌うこと、サックスなどの楽器演奏など口腔が関わる様々な活動に影響を及ぼします。

 

実際、舌の位置や緊張の調整を行うと、途端に楽器を吹いた時の音色が変化することは珍しくありません。

 

舌の緊張が変化することで話しやすさ、食べやすさ、歌声、楽器の音色と様々な変化が起こりうるということですね。

 

一方で健常者を対象に上肢、下肢と順に徒手的に刺激し、その前後で発話時の舌運動の効率性を評価していきます。そうすると、例えば下肢に介入することで、再評価時に舌の動きが良くなるという方が時折いらっしゃいます。

 

下肢→舌

 

「両者の間にどの様なつながりがあるのか」、そして繋がりがあるだけでなく「なぜ影響を受けるようになったのか」とても興味深いですよね。

 

数年前の私だったら「下肢からの影響で舌が非効率な動きをしていた」という気付きで終わっていたのですが、今はもう一歩踏み込んで考えるようになりました。

 

例えば下肢への介入で舌が動かしやすくなった場合、より難しい発音課題を行います。

 

例えば「らららららら」といったように発音課題を行なってもらいます。

 

 難しい発音課題を行なっても、下肢への刺激で改善した舌の動きが維持できればいいのですが、残念ながら介入前の状態へあっという間に戻ってしまう場合も多くあります。

 

「この介入効果ってどのくらい持続するんだろう?」と疑問に思った時は、疑問のままにせず確認してみて、何が変化して、何は変化しなかったのかも評価していきましょう♬

 

一方で負荷をかけた事で舌の動きが元に戻ってしまう方に対し、口腔外からの舌の調整法を行なうと、同様に負荷のかかる課題を行なっても良い状態が維持できることがあります。

 

もちろん上下肢からも介入した方が効率の良い場合もあるでしょうが、その際はまた違う視点から掘り下げていく必要があります。

 

なにが大切かというと、評価-介入-再評価の中で、まずは同じ条件で介入前後に評価を行い、良い介入結果が得られた時にはもう一歩掘り下げて介入効果について評価してみるということ。

 

そして以前の記事でお話したように、食べること、話すことの問題の背景となる、様々な影響因子を考え、どんな因子に対して誰が介入すると、より効率的に目標へ向かっていけるかを考えていくということ。

(参考:アセスメントの階層性① - 言語聴覚士 奥住啓祐)

 

 

今回の内容で言えば、食べること、話すことの問題に対して直接口腔から介入していった方が効率的なのか、上下肢や体幹からも介入していった方が良いのかを考えるということですね。

 

もちろん下肢から頭頸部への影響も強いと考えた際、STさんが下肢に対して介入しないといけないのかというと、そうではありません。

 

PTさんが介入する時に、下肢と頭頸部の関連も考慮してもらいながら訓練を行なってもらい、定期的にSTさんは下肢から頭頸部への影響がどの程度軽減しているかPTさんと一緒に評価できたらよいと考えています。

 

もちろん構音訓練をする際に足のポジションを整えるなど、STさんが1人でも出来ることは積極的に行なっていけると素敵ですね。

 

 

長くなりましたので、今回はここまでにしましょう。

明日からの臨床に繋がる素敵な気付きがあれば幸いです。

 

 

 今日も最後までお読み頂きありがとうございました♬

  

奥住啓祐 

 

 

 

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